洋裁や手芸の好きな母やおば達の影響で、小学生の頃から色々と挑戦した経験はある。おけいこバッグ作り、フェルト手芸、編み物、ロマンドール(紙粘土の人形)作り・・・しかし私は器用なわけでもなく生来のめんどうくさがり屋であり、加えて飽きっぽい。途中で投げ出したくなることはしばしばで、教えてくれる大人たちをがっかりさせた。
そんな私でも昔フラメンコを習っていた時に、自分で衣裳を作るという無謀な挑戦をしたこともある。舞台に間に合わせなくてはならないので、嫌でも必死になる。意外だったのは、非常に不得手のはずの洋裁が、日を重ねていくと少しずつ楽しいと思えるようになってきたことだった。延々と続くフリルの端をバイアステープでくるみ、縫ってゆく作業のなんと面白かったことか。
夏の農園オープンに向けて、ちょっとやってみたいことがあり、頭の隅の苦手意識を振り払いながらまた指先を動かしてみることにした。すぐに作業の面白さが分かるわけではないが、目標を立てた以上、自分の短所とうまく向き合いながら進めてみようではないか。歳を重ねても、いや重ねたからこそしなやかなチャレンジができるかもしれない。新しい窓はいつでもきっと開いているのだから。