なにかとてもワクワクする気配がする。失礼ながら、そんな印象を抱いての初訪問である。ごくごく日常の、町角の本屋さん。ではあるけれど、これまで訪れたどの本屋さんとも違う。店構えは、今風、ではない。断然クラシックな昭和の面持ちだ。ではあるけれど、その中に流れる空気は確実に「今」であり、情報がたくさん詰まった引き出しがあちらこちらに楽しく隠されている。きっとご主人のお人柄そのものなのだろう。そこからふわりと取り出される話題はひとつひとつが新鮮で、静かだけれど熱がある。
ちょっと面白い配置でまとめられた個性的な書棚を、一冊一冊確かめていく時間のなんと楽しいこと。ぐるぐる眺めて、食にまつわるエッセイなどを2冊選んだ。ある日の午前中の数時間、あるいは数分、小さな小さな時間だけれど、そこでの一冊の本、これまで知らなかった町や人の魅力との出会いがその先の人生にワクワクするきっかけをくれる。