のんびり向き合おう、と思っていた夏も、いま振り返るとあっという間に過ぎた。日々、新しい出会いがあり懐かしいひととの出会いがあり、たまに予期せぬ楽しいハプニングがあったりする筋書きのない夏だった。そんな日々を整理し終わって、やっと一息入れる頃に母校吹奏楽部の演奏会は開催された。来春から共学になり制服も変わるという、何の前触れもないニュースが飛び込んできたのはすこし前のこと。昨今のご時世、生徒数の減少で学校経営を鑑みると云々、というのは、おそらく今の社会ではありふれていることで、ほら、あの高校もこの高校も最近統合して校名だって変わったではないか、と自分に言い聞かせるように思い出してみる。それなので、これまでも気持ちが向けば何度か出掛けてはいた演奏会だったが、今シーズンはOGにとっては、なにかひとつの節目のような、もう会えない何かに会いに行くような、そんな締めくくるような心持ちにさせられた。

会場は学校敷地内にある、創立100周年を記念して建てられた1000人ほどが入るホールで、むろん私の在校時には存在しない。わかりやすいことに、演奏会の第1回目を開催したのは私が入学したその年の秋だった。長らく市内の公共のホールを借りて開催されていたと思っていたけれど、何時のころからかこのようなスタイルに変わったのだな。1枚の紙を半分に折って作った、簡素なプログラムの表紙には第37回の文字。これだけ時間が経てばいろいろなことが変わってゆくのだろう。

なんと、3年生が引退する直前のいまですら、Tromboneのパートはたったひとり。ほかの楽器のパートだって、自分たちの頃とはまるでかけ離れた人数。部全体で20名ほど。これには愕然とする。「いま」はこの人数でハーモニーを作らざるを得なかったのか。それでも、パーカッションは二人の生徒が、人数の少なさを感じさせない動きのよさをみせる。Tromboneの生徒は、テナーバスとバストロを曲によって持ち替えながら演奏する頼もしさ。第一部最後の曲は、今年のコンクールに挑んだ際の自由曲。風が吹きまくるようなスピードと豊かなハーモニーに胸が熱くなった。

第二部以降アンコールまでは地元の社会人バンドが加わっての演奏。生徒の人数を上回る加勢で、確かに音に厚みが出て迫力を増したサウンドを聴くことはできたし、第一回目の演奏会からずっと演奏しているあの曲を、今年も演奏してくれた。それでもやはり生徒による「白百合ブラス」をもっと聴きたかったという気持ちのほうが勝った。OGはどうしても、自分たちの時代と現在とを知らず知らずのうちに重ねたり比べたりして観てしまいがちではあるけれど、形を変えながら続いていく「白百合ブラス」を聴くために、今回が最後などど思わずにこれからも会場に足を運ばない手はないのではないだろうか。

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10月〜6月は閉鎖期間のため営業しておりません。

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