切手を貼って、ポストの中へそっと封筒を落とす。小さいころからそれはドキドキする瞬間だった。いまは圧倒的にデジタルでのやり取りが全盛。それでも、時折便箋にペンで書くそのひと時は、何から書き始めようかあれこれ思いをめぐらせながら、いつも心を緩やかにしていく。最近とても嬉しかったのは、しばらくご無沙汰していた従姉から、近況を綴ったていねいな文字の手紙をいただいたこと。穏やかな日常が行間から伝わってきた。
大きな店で、久しぶりに文房具売り場を覗いてみた。少しかすれたようなノスタルジックな縁飾りの、書きやすそうな便箋が目に留まった。深い紺色のインクのペンで書いてみたいと思わせる、活版印刷のレターセット。帰り道、郵便局の入り口には季節折々の花や名物料理などがデザインされた切手が所狭しと並べられていて、眺めるだけでもワクワクしてきた。さあ今度はなにを綴ろうか。