どこか“変わり雛”の雰囲気?取っ手部分がすべすべとした木製の、ユニークな表情のナイロンブラシのおふたり。妹からのプレゼント。
我が家にあった雛人形は、人形作りの得意な叔母の手作りのものだった。張りのある丈夫な和紙を何枚も重ねて、シンプルながら細部までていねいに作られているのが子供心にもわかった。叔母の作る人形はどれもそうだったけれど、目鼻などは描き込まれておらず、そのまま繭のような長細い顔をしていた。
あの頃想像していた未来はどんなだったろう?いま自分がいるのは、確かにあの時思いを馳せていた遠い先の時間の中。
自分のために、誰かが心を込めてたくさんのものを用意してくれたこと。誰かが自分を育ててくれた日々があること。そのありがたさに感謝する思いは時を経ても変わることがない。