きれいにメレンゲを混ぜ込んだつもりでも、オーブンの中でふっくらと膨らんで、おっ、今回はいい感じ!に見えたとしても、いざ、型から外してその全貌を確認するまでは結果が分からない。私にとってシフォンケーキとは手作業のいろんな加減が試され、ハラハラさせられるハードルの高いお菓子。
久しぶりに家族で集まって一緒にご飯を食べよう、と計画した。さて食後のデザートは何にしよう?あえて苦手なシフォンケーキにしよう、と思ったのは、その会がちょっと早めの“卒業と進級を祝う会”でもあったから。これから来る春、子供たちは新しい気持ちで一歩も二歩も踏み出す。だから私も。
オーブンからはいい匂い。膨らみ具合もいい感じ。さて、出来栄えは。ケーキの半分に大きな気泡、というより空洞ができて、それはもう見事な、お椀のような上げ底になっていた。お椀の側面の部分をカットして平らにし、砂糖衣を全体にかけ、削ったレモンの皮で飾ってみた。それなりにおしゃれな見栄えにはなった。だけど、このケーキをみんなに食べてもらうのは何か違うと思った。
幸い、卵以外の材料も時間もまだあるので、卵を買いに走り2回目のチャレンジ。生地の作り方や焼く時の温度などを変えてみた。いざ、型から外す。ちょっとへこんだり削れたり気になる部分もあるけれど、私にしてはまあまあの出来だ。おしゃれな飾りつけは無しで、農園のブルーベリーでさっと作ったソースを添えた。お祝いの会にはそっけない見栄えだけれど、それもまたよいではないか。自分という素材の持ち味を素直に膨らませながら、さあ七転び八起き。