祖母の庭

決して、おしゃれな、洗練された庭ではないのだ。鯉が泳ぐ池や石の橋があったから、もとは和風庭園だったのかもしれないが、私の覚えているその庭には和洋問わず四季折々の花や木が、あちこちに幸せそうな自分の居場所を持っていた。

春の訪れはちいさなスノーフレークから始まり、その横に隠れるようにユキノシタ。池のほとりにはコントラストの美しいスイセンが点描のように。猟犬の小屋と鶏小屋へ続く、うっそうとした細い通路沿いには、ぐみの木が。その向かいにはクリーム色の手毬のような花がたわわに咲いた。これには毛虫がたくさんつくので、通り過ぎるときにはちょっと注意が必要だったが。

初夏に近づけば、鮮やかな濃いピンクのつつじがあちこちに咲き乱れる。つんつんと尖った薄黄色の花びらのばら、小さな芝生の一角には濃い紫色のクレマチス。その横に、クラシックな白と赤の小さなばらが花びらを広げている。鮮やかな松葉ぼたんも伸び伸びとあちこちに。みんなで渋柿を採ったあの柿の木はいまはもうないだろう。植物図鑑で見た花を、目の前で観られる庭。季節ごとの花の香りがふっと風に乗って漂ってきたとき、最初に思い出すのが祖母の庭の情景だ。

あれからずいぶんと時が経ち、私の目の前のブルーベリーたちは今、可憐な花ざかりを迎えている。みつばちのにぎやかな羽音を聞きながら、それぞれの鉢を回って、枯葉や古い木の皮など取り除く。あの春、あの夏、一日中庭で花の手入れをしていた祖母にも、豊かな香りや風や羽音がきっと届いていただろう。

SHOP INFO

営業時間

7月上旬〜9月上旬10:00〜16:00【定休日:期間中無休】

10月〜6月は閉鎖期間のため営業しておりません。

オープンカフェのため天候等により臨時休業する場合があります。

住所

岩手県岩手郡雫石町七ツ森129

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