小学校3年生と4年生の時の担任は、男性の、音楽の先生だった。今ではしっかりNGだろうが、生徒を叱る時の「往復ビンタ」でそれはそれは有名な先生で、他学年の子供たちからも恐れられている存在だった。3年生に上がる際のクラス替えで、その先生が担任であることを知った時、落胆したことを覚えている(先生ごめんなさい)。

先生の授業はユニークで、ある時の国語の授業では教科書に載った物語をまるごと覚えることになった。正確には、頭の中に入れるように、ということなのだが、生徒である私たちはとにかく丸暗記して一字一句間違わないようにと必死になった。何人かが先生に当てられて、段落ごとにリレー形式で暗唱していく時間はドキドキだった。とはいえ、先生の真意はそこにはない。文面通りではなくてもいいから、話の筋や本質を自分で腹落ちするまで咀嚼して、自分の言葉で誰かに伝えること。その力を養ってくれたのだ。

音楽の授業はこれまた、内容が濃かった。小学校3年次に始まるリコーダー(たて笛)の授業。初めてリコーダーを手にする私たちに、先生お手製の基礎練習曲集が配られた。各曲には番号が振られており、やさしい運指練習的なものから始まる。後半には童謡などが載っており、こんな難しそうな曲をどうやって吹くのだろうと不思議に思えた。そしてこれらは、明日まで何番を練習してくるようにと、よく宿題に出された。初めての宿題のことは忘れない。家に帰り曲集を開き、先生が覚えてくるようにとおっしゃった番号の曲を探した。すると、後半に載っている難しい曲だった。途方に暮れて母に相談し、疑問に思った母が学校に問い合わせてくれ、結果、私が宿題の番号を間違っていたことがわかった(母が学校に問い合わせたのは後にも先にもこの時だけ)。本当の宿題は始めのほうに載っているやさしく短い運指練習のフレーズだった。

そんなこんなで、学校でも家でも日々リコーダーを手にするようになると面白くなってくる。4年生になると、曲集を卒業した私たちには新たな課題が付与された。本格的な曲の楽譜である。バロック時代のメヌエットなど全部で6曲か7曲用意されていて、だんだん難易度が上がってゆく。先生の前で演奏して合格をもらえると、次の曲に進むことができる。初めの曲は独奏だが次の曲からはデュエットでの演奏となっていて、テストの際は両方のメロディを吹く必要があった。合唱よりも何よりも先に、誰かと一緒にハーモニーを奏でることの楽しさと出会ったのは、この時が最初だった。曲のタイトルや作曲者はおぼろげながら、今でもふと、この時に覚えたメロディが蘇ってきて、農園の隅でひとりリコーダーを吹いたりして。さて、この秋も自作の枝オカリナを携えて、横澤さんが農園に来てくださる。これぞ木管楽器という、温かく澄んだぬくもりのある音色。数年前に枝オカリナを購入した時にいただいた、仕舞い込んだままの運指表。むずかしく考えず、もう一度チャレンジしてみようか。今年の演奏を聴けば、きっとそんな気持ちが高まるだろう。

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